メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合は63.2%とほぼ横ばい
 厚生労働省はこのほど、「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表しました。
 同調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料とし、労働安全衛生行政運営の推進を目的に実施されています。令和6年は事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス等の実態について、常用労働者を10人以上雇用する民営事業所から無作為に抽出した8,304事業所並びにその事業所に雇用される常用労働者及び受け入れた派遣労働者から無作為に抽出した8,596人からの回答をまとめたもの。
 調査結果をみると、事業所分については、事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のためのメンタルヘルス対策に取り組んでいる割合は63.2%(令和5年調査63.8%)と前年とほぼ変わりがありません。規模別では、労働者数50人以上の事業所で94.3%(同91.3%)と9割を超え、30〜49人の事業所で69.1%(同71.8%)、10〜29人の事業所で55.3%(同56.6%)と規模が小さくなるにつれて取組割合が低下しています。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所のうち、ストレスチェックを実施している事業所の割合は65.3%(同65.0%)。これを規模別にみると、労働者数50人以上の事業所で89.8%(同89.6%)、30〜49人の事業所で57.8%(同58.1%)、10〜29人の事業所で58.1%(同58.6%)でした。
 また、高年齢労働者に対する労働災害防止対策の取組状況では、60歳以上の高年齢労働者が業務に従事している事業所のうち、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害の予防的観点からの高年齢労働者の健康づくりを推進するために厚生労働省が令和2年3月に作成したガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)を知っている事業所の割合は21.6%(同23.1%)で、このうち高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は18.1%(同19.3%)。その取組内容をみると、「高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(高齢者一般に見られる持久性、筋力の低下等を考慮した高年齢労働者向けの作業内容の見直し)」に取り組んでいる事業所の割合が半数以上の62.9%(同56.5%)と最も多くなっています。
 一方、個人に対する長時間労働に関する状況では、令和6年10月31日までの過去1年間に1か月間の時間外・休日労働が80時間超の月があった労働者の割合は1.5%(同2.2%)と前年よりも低下しています。このうち、医師による面接指導の有無をみると、1か月間の時間外・休日労働が80時間を超えたすべての月について医師による面接指導を受けた労働者の割合は12.6%(同6.1%)と前年の倍以上に増えました。